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ランド・オブ・プレンティ

ランド・オブ・プレンティ スペシャル・エディション [DVD]
相当な低予算からわずか16日間で撮影された映画で、監督いわく映画の出来は予算と比例しないとか、スターウォーズエピソードⅢを思い浮かべながら思い切り頷いた。
ベトナム帰りの元兵士:ポールが9.11を期に使命感から不信人物(主に人種から)を監視していたところに、イスラエルから帰った若い姪:ラナが彼を訪ねてやってくる。
彼女はロス アンゼルスのスラムにある伝導所に身を寄せそこに集まる浮浪者に国籍も性別も関わりなく人懐こく接する。
そんな中ターバンを巻いた中東の青年が射殺される。ポールは彼がテロリストだと考え(実際はパキスタン人)ラナは彼の遺体を肉親の元に帰したいと考え、一緒にロス郊外へ…
DVDの特典映像として監督と主役たちのインタビューが有ったのだが、監督がまず語ったのは映画などで見るアメリカと実際のアメリカとの違いだった、国内に歪みとひどい較差を抱えながらそのことをあまり顧みない事、世界の覇者となって国際情勢を知ろうとせず置いてきぼりになりつつ有ることを指摘した。
ポールの歪んだ愛国心ゆえの行動を見ていると非現実的な印象を持つのだが、ポール役のジョン・ディールによると多くのベトナム経験者は9.11以降普通にそうした「俺がこの国を守る」という感情を持っているのだと言う。
このポールとラナは遺体を埋葬した後に墓地の木陰でそれぞれにとっての9.11を語る
ポールが世界貿易センタービルをあたかも戦場で散った英雄のように語る一方、ラナはそのニュースを聞いて喜び騒ぐ中東の人々を目にして、祖国が憎まれている事にショックを覚えたと語る。
その足で二人は美しい荒野を抜けアメリカを横断しグランドゼロを目にする。
ポールは拍子抜けしたようにそこを「まるでただの工事現場」と表現する。

途中ラナは「テロで死んだ人達は復讐なんて望んでないはず」と普通の事をしっかりと言っている。
アメリカにとってのテロへの恐怖は、まさにあの9.11で始まったのではなく、それ以降に生み出されているものかもしれない。
最近いかにもわけ知り顔の評論家が日本人は平和ボケだといっているのを良く目にするが、危機感から狂って拳銃をかまえるのとどちらがおかしいのだろうか、もちろん現実として自衛隊も日米同盟も必要であろうけど恐怖に狂うことなく平和を希求するこころとして平和憲法があってよいと思うのだが。
との感想はこの映画が描くアメリカをみて再度思い返してもらえればと思います。
おもいっきり地味だけれど、ラナ役ミッシェル・ウイリアムスの純粋な笑顔とレナード・コーエンの音楽が心に残るいい映画でした。