PLCアダプターを使ってみました

お客さんからの依頼で工場事務所へパソコンの新規導入とインターネット:ネットワーク導入をさせていただきました。
二棟有る工場のそれぞれに事務所が付属しており、PCは電話回線がない方の事務所への設置をご希望ですがその地域でのブロードバンドはADSLしか利用できません。
不勉強でお恥ずかしいのですがPLCが解禁になりすでに製品が出ていることを知りませんでした。
初期の選択肢としては
・ネットワークケーブルをフルに配線
802.11nなどの出来るだけ障害に強い無線LANとアンテナ
・LANケーブルを取り回して電波状態の良い場所にアクセスポイントを設置
など試行錯誤で試すしかないと思っていました、なんせ建物がトタン張りでしたので。

電気店で店員さんと価格交渉をしていると他のお客さんが横からPLCについて問い合わせをしました、なるほどその手があったか、救いでした。
埃だらけの天井裏に上ってケーブルを取り回し建物の反対側にある窓際に電源を用意して電波状況を試行錯誤…
そんなことを覚悟して向かったのですが、PLC利用で驚くほどあっさりと完了してしまいました。
壁のコンセントに刺さっているプラグを整理してPLCアダプターを二カ所に直づけ(テーブルタップは大幅な速度低下につながるらしい)これだけで必要な場所に通信環境が得られます。
PLCアダプター|パソコン周辺機器|Panasonic
ただし設置後通信速度を測定すると3M弱です、公称規格190M実行速度55Mとは桁外れに低いです。
ニュース - 【速報】話題の電力線通信アダプターの実力を検証!:ITpro
によるとPLCはノイズに弱く、この記事の実験では電源アダプターが出すノイズの影響を強く受けているようですしこの製品の注意書きによるとドライアーなどの出すノイズにも影響を受けるようです。思えば回線側の事務所には携帯電話の充電器が刺さっていましたし工場なので様々な機械が稼働しています。
またPLCが出す信号はアマチュア無線などで利用される短波域を使っているようでこれらへの影響も気になるところです。
価格はマスターとターミナルのセットが量販店で二万円弱、ターミナル単体は14000円程度です。この機種はマスターとターミナルが機械的には同じもののようで、本体にあるスイッチの切替だけです。
また内部の基板だけでも提供されるようで、今後はPLC内蔵の家電製品も出てくるかもしれません。

パソコンとインターネットの普及で最近の住宅では電気コンセントと同じようにネットワークコンセントも備えるようになりつつあったのですが次にはまたその必要が無くなってくるかもしれない、ただし家電品全般のノイズ対策が必要になってきます。ノイズリダクション付のコンセントやコンセントに挟む形でのノイズリダクションが出てくるんでしょうね。
配線などの物理的なインフラに求められるものが技術の進歩でどんどん変わってくるというのはなかなか頭がいたいものですね。