お金の向き

関西ローカルで中部地方でも放送されているたかじんのそこまで言って委員会が好きでよく見ています。よくある討論番組のようにまくし立てて人の発言をうち消すようなシーンもなく、消化不良なままで次々と議論を移してしまうことも少なく楽しくみられます。
3月4日の放送では格差社会との絡みで好景気と言われる大企業と搾り取られ続ける中小企業との問題(正確な議題は忘れました)もあつかっていました。中部地方を拠点として活躍中の経済アナリスト(?)と仰る方が出ていて中小企業の実体を力説し、大企業は単年度収支で損得を判断するのではなく長期的に考えて従業員や下請け企業を育てる努力をして欲しいと訴えていました。そんな中ででてきた辛坊氏の「でも一般の消費者だって一万円の毛布と千円の毛布がうってたら千円の物を買いますから…」との一言、そうなんです。経済は一人一人の消費行動につながってるんですよね。
スーパーに行くと見た目同じニンニクが中国産が概ね5個250円で売っています、国産のニンニクだとほぼ同じ金額で一つしか買えません。大きさや味など品質のこともありますが、中国産には過剰な農薬の心配がありますし特に食品は環境への配慮から出来るだけ近場の物を消費する方がよいと言われます。全体に農作物に関しては様々な要因から国内で誠実に生産される物はコスト高になりがちで、生産農家への応援であるとか消費者としての意思表示であるとかそうした意味も消費には含まれることになります。工業製品に関して言えば比較的安価な従来通り大量生産大量消費型の商品を購入するのか機能・設計からビジョンを持って永く使える製品を買うのか選択するのは消費者でしょう。
先の経済アナリストがいう「育てる経営」と言うことに関して言えば、企業責任としての社会への貢献と言うことになるでしょうか。堅実な経営をしているある中小企業の社長さんは「利益を出して成功した次にめざす物は会社としての品格です」と言っていました。
消費行動であれ企業の品格であれある意味では正しいのですがそこには一つ原理が欠けています。
株式を主体とする資本主義社会では利益を出し続けることが必要条件で有り続けます。
お金を支払うのだから当然の権利として対価を受け取る、そうした流れで有る限りは大勢としていまのまま変わることはないのだろうと思います。
以前ハタラクことと感謝と - ことば:こころで書いたようにお金の向きを本来の方向にしなければきっと何も変わりません。
元オリックスの中村紀洋選手中日ドラゴンズ育成選手として年俸400万円で契約しました、これについて各所で「あの中村をたったの400万でとるなんて」とどちらかと言えば中日ドラゴンズを批判する声を聞きます。いや育成選手としての入団に対して筋の通った契約なのでしょう、ですがこの後彼が今期一軍に入って(実際好調なようです)活躍するなら中日ドラゴンズはシーズン途中でも契約を見直してまっとうな年俸へと更新するべきです、まっとうな評価…という表現になるのでしょうが、そうではなく感謝として報酬を見直すならそれが正しいお金の向きになるはず、それは中日ドラゴンズのファンを増やす結果になるはずです(野球嫌いの僕でさえ想像だけで胸が躍ります)
長々書きましたが、たかじんのそこまで言って委員会の辛坊氏の言葉はもう一歩進めて個人の消費、もしくはお金に対する考え方のヒントになって欲しいと思うのでした。
たぶん世界はそんな風に普通の出来事が積み重なり人の心に波を送り続けるんです、目に見えて劇的な奇跡なんて起きる物ではありません。竹中平蔵氏が必死で守った「トップクラスの経済大国」という肩書きも見直すなら、政府もこれほど個人を見捨てた舵取りにはならないんでしょう。