詩作の試作

扉を閉める時発した声が エレベーターに入ると 耳によみがえった 僕の声には故郷の人と同じ成分がある この限り無く なにもない孤独な箱の中で この体ははるかなあそこにつながっている好きなボーカルに共通の響き 心が形に、形が心に いつかその心に触れら…

オパールの人

オパールの人 何度も記憶にうち寄せる人はただただ想いをくれた人 もとめることもなく みのりをかりとることもなく あたたかいえがお みつめるひとみ おもいをこめたまなざし ゆるし こころくだき あたえつづけ それらはありがたくこのうちに オパールの結晶…

冬の空は

冬の空は 子供たちと会ってきた冬 の 空はスス色 で 運転していると息苦しくなって顔を覆ってみる 背が伸びた娘たち 力満ち始めた坊主 そんなことが当たり前のように 四人で枕にしあって絨毯の上で テレビ見て笑って お互いのこと笑って それじゃあ って で…

空とビルの間から

空とビルの間から 見渡すかぎり四角くて こんな夢も時にはあるのかも、と それにしても景色だけじゃなく 音楽も角張ってて 厚みがあるのは高速からの騒音と犬の声 時間でさえも 四角い予定表にお札を当てはめていくばかり 見渡す限りのビルの向こう 日の昇る…

ALONE

透明な闇の中で 夜の道をひとり 冷気が指先に入り始める季節に 街は畏れさえもかわいていて それでもこれほど孤独が満たされているのは モクセイの香りのせいかもしれない もうすぐ夜が明ける

ひとしきり泣いたあと 内に真実を見つけた 安心して寝息を立てている この子 いとおしく包み込む 手で、肌で、全身で存在を確かめたい ただ この愛は 連続体として 生物の愛ともつながっている その振れ幅を俯瞰する その今を味わいながら 眠りの中へ入るの…

心象風景:宇宙を思う自分が地の上にいる

眠ろうと目を閉じながら宇宙のことを思い描くことがある。その宇宙のなかの自身のある場所を考えると、内に宇宙を抱えるほど大きくて同時その中の極々ちいさい我を感じる。とてつもなく大きくて限り無く小さなワタシ そこは流水に区切られた限られた土地の杉…

060507

光る雨粒 為す何ごともなく 座り込んで内を見れば 唯一残るのは さっき見つけた ハナミズキの純白と 若緑と 街のミッドナイトブルー 水銀灯の光りと雨水を纏っていて 何もない中にも ちゃんと残るものがあると言わんばかりに 瑞々しくある色

見えない、見ないそんなこと

しばしば人は 目の前の言葉に 自らの内にあったはずの その人の存在を忘れる こんなすてきな人が今僕の腕の中にいる その感動は今でも生き生きとよみがえるなのに内なる君が見えないのは何故 内なる君にそんなことを言わせるのは 僕のココロの影の部分なのか…

かかわりは

僕の中に確かに君がいる 思想に、魂に、そして肌に 悔しいじゃないか このままずっと持続けるなんて君との間に紡いで引出した 痛みとともに刻みつけられた すくい上げ組直し結んだ概念 悔しいじゃないか もう君はいないのに僕の中に残って忘れない 感謝、発…

呪縛

いつものように残業終る 警備会社の機械のセット センサ−が働き出すまでのブザーの音 追われるように門を出た子供の頃は…夢の中では毎日、毎晩 必ず何かに追いかけられていた 大きくなったら何になるの? 何にでもなれるよ 何にもやらない ボクハダレ ボクハ…